ダメ博士とそばかすくん (幻冬舎ルチル文庫)

まさかの（「おとなりの野獣さん」に登場していた）米原君のお話でしたね。あとがきで書かれた間之先生の思惑通り、びっくりさせられました！！「おとなりの・・・」の時にも、米原君と彼のおじいちゃんとの会話は、まるで漫才を聞いているような可笑しさが溢れていましたが、このお話では、漫才の相方がおじいちゃんから准教授の千堂に替わって、さらに笑いがパワーアップされています。とにかく２人の会話が、ポンポンと絶妙なテンポで繰り出されているので、読んでいてとても楽しくて可笑しい。特に、千堂がとんでもなく人間らしくない方なので、突っ込み方が普通じゃなくて、それがよけいに笑いを誘います。（Ｍ-1目指してもいいくらい、息がピッタリでした）また、米原君の性格の明るさ、ポジティブさには、幸せなパワーが秘められているかのようで・・・すごく力づけられますね。もし、自分が落ち込んでる時にこの本を読むと、すぐに元気になれそうです。そして、彼のお世話焼きの仕方が世間一般の「オカン」以上に、甲斐甲斐しくて愛に溢れていて・・・。途中から、「これはオカンではなくて妻、それも新妻だな～」とニヤニヤが止まりませんでした（笑）。一方千堂（米原君に「博士」と呼ばれているので、彼の本名がなかなか覚えられない）が、一般常識を米原君に一から教えられ、素直に習得していき、だんだん人間らしくなっていくのが楽しかったですね。「年下の学生に愛を教えられる准教授」というのも、面白いシュチュエーションでした。あと、私は間之先生のお話に必ず出てくる脇役さんが大好きなんですけど、今回も２人の恋を優しく見守る米原君の祖父＆祖母も、千堂の友人カイルも、すごく心が温かくて彼らの言動が胸にジーンと染み、すぐ大好きになりました。間之ワールドの住民は主役はもちろんのこと、脇役もとっても魅力的な人ばかりだし、いつしか自分もそこに住んでる気分にさせられます。そんな間之ワールドに興味のある方は、是非読んでみてください。読んだらきっと、今までの作品すべてを読みたくなるでしょうね！次の作品が楽しみです！！